rip
墓石に刻まれている「R.I.P.」という文字を海外ドラマや映画などで、よく見かけます。
日本では、あまり馴染みのない言葉ですが、英語圏では頻繁に使われる言葉で、RIPを用いたスラングもあるほどです。
R.I.P.とは
ラテン語で「requiescat in pace」。
英語で「rest in peace」。
意訳すると「安らかに眠れ」。
近年では、悪口にも使われるようですが、海外のお悔やみの言葉です。
では海外の葬儀や墓地の特徴は、どういったものがあるのでしょうか?
今回は、アメリカ・ロシア・韓国・中国・インドにみる葬儀や墓地の特徴などを、具体的にご説明いたします。
世界のお墓事情から、故人への敬意、故人に想いを馳せることの意味を知る機会にしていただけば幸いです。
アメリカのお墓
キリスト教徒の多いアメリカでは、日本のお墓とは趣きを異にしています。
アメリカの一般的なお墓は、先祖代々のお墓ではなく、個人1人が入る個人墓です。
キリスト教の埋葬方法は、土葬を基本にしています。
これは、キリスト教の死生観が関係しており、故人の魂は、肉体に戻り復活すると考えられています。
これにより肉体を滅してしまう火葬ではなく、土葬による埋葬となるのです。
お墓を建てる場所に関しては、所属していた教会か、一般に利用できる霊園に建てるのが主流です。
ご遺体が腐敗しないようエンバーミングを施し、棺に入れます。
ちなみにエンバーミングとは、ご遺体の消毒・殺菌、腐敗防止、体の修繕や化粧などのために、化学処置をすることです。
土葬が主流のアメリカにおいて、約半数以上のご遺体がおこなう施術方法で、資格を持った「エンバーマー」が施術に当たります。
ロシアのお墓
極寒の地、ロシアの墓事情は、諸外国の少し趣きが違います。
ロシアには、ドフトエフスキーが眠る、多くの参拝客が集う有名なお墓もあります。
葬儀後、ロシアでは追善供養がおこなわれるのが通常です。
また追善供養は、命日の数日後もおこなわれます。
その追善供養の席では、ウォッカが振る舞われるそうです。
極寒の地、ロシアならではの風習ですね。
また、お墓に供える花ですが、ロシアでは、極寒ということもあり、生花ではなく、枯れない造花を選ぶとのことです。
中国のお墓
中国は、儒教の影響により、埋葬方法は土葬でしたが、毛沢東による葬儀改革によって、火葬に切り替えが進められています。
世界遺産にも指定されている兵馬俑(へいばよう)は、始皇帝陵とともに、あまりにも有名なお墓です。
秦の始皇帝は、黄泉の国でも絶大な権力と軍団を誇示するため、始皇帝陵と兵馬俑を、実に70万人の人員、約40数年の年月をかけて造営しました。
しかし、現在の中国での、お墓事情は墓地不足で苦しいようです。
広大な土地を有しているが、人口も多く、個人墓であるためのようです。
また共産主義である中国の土地は、国家のものであるため、先祖代々のお墓という考えを持てないのが実情です。
中国の葬儀に関しては、派手な葬儀が多く、参列者の数や供物の多さで、故人の素晴らしさの証とされるため、葬儀の費用にお金をかけるのも特徴です。
韓国のお墓
韓国は、朝鮮王朝時代に儒教が中国より伝来し、土葬が主流でした。
その後、仏教が伝来し、火葬が主流にと変化しました。
韓国ドラマなどで、よく見かけるガラス張りのロッカーのような納骨堂に遺骨を収めるスタイルが、現代では増加傾向にあります。
また韓国の葬儀は、3日葬(サミルチャン)が一般的で、3日3晩にわたり、ご遺族は弔問客に食事などで振る舞います。
儒教の精神から家族や先祖を大事にしている韓国では、弔問客に対し最大の敬意を払う葬儀をおこなうといったところでしょうか。
インドのお墓
インドは、国民の約8割がヒンドゥー教の信者と言われています。
ヒンドゥー教徒にとって、聖なる河がガンジス川とされています。
インド神話によると、ガンジス川は、天界にのみ流れていた川だそうです。
ガンジス川そのものを女神ガンガーと考え、死する時は、ガンガーであるガンジス川に身を委ねる教えがあります。
ヒンドゥー教の教義により、火葬後は、遺灰をガンジス川に流しますので、インドには、お墓がないのが一般的です。
しかし、イスラム教徒やキリスト教徒もいるインドでは、お墓もあります。
魂は輪廻転生すると考えるインドでは、お墓がほとんどないのですが、世界遺産「タージ・マハル」という優美なお墓もあるのが、インドの魅力ではないでしょうか。
まとめ
西洋では、百日草(ヒャクニチソウ)の花言葉は、I mourn your absence(あなたの不在を悲しむ)、thoughts of absent friends(不在の友を思う)だそうです。
そこから日本では、「亡き友を偲ぶ」「分かれた友を思う」となりました。
今回は、海外のお墓や葬儀事情を、国別にご説明いたしました。
海外にも、故人を偲ぶ言葉があるように、お墓や葬儀にも、それぞれの想いがあることを知っていただけたのではないでしょうか。
美しくも悲しみの世界に浸るお墓巡りに、海外に行くのも一興かも知れません。