目次
「一杯のお運びで」が常套句の楽しい落語とは
「一杯のお運びで」
よく落語家さんが使う言葉です。
いっぱい足を運んでくださって、誠にありがとうございますという意味だそうです。
とても粋な言葉の魔術師である落語家ですが、彼ら彼女らが奏でる落語という演目。
実は知ってるようで、知らないのが現実です。
落語の面白さを感じたい!
初心者でも分かりやすくて、楽しい落語ってどんなものがあるの?
安心してください。
今回は、とにかく笑える古典落語を三つご紹介します。
初心者でも分かりやすく、とにかく楽しいのが落語の本質です。
一緒に落語の世界に浸りましょう。
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古典落語の様々な区分け
古典落語は大別すると
「滑稽噺」
「人情噺」
の2種類に分かれます。
滑稽噺とは、噺にオチをつけて笑わせるお話。
人情噺とは、心温まる人情を描いた物語中心のお話です。
その他、幽霊が出てくる「怪談噺」などもあります。
落語といえば、滑稽話が主流であり、初心者にも分かりやすいのという特徴があります。
また古典落語の演目数は、200〜300ほど、現代ではお披露目しない演目も合わせると800ほどと言われています。
そして落語には地域によっても違いがあり
「江戸落語」
「上方落語」
2つの地域で、話もオチもサゲも違ってくるのが落語の面白いところです。
落語でも、種類が多く、地域差、そして落語家自体の特徴など、様々な要素で成り立っているにが落語の醍醐味。
この落語が好き。
この落語家さんの話し方が好き。
または、この演芸場が好き。
落語と一言で言う勿れ!
多種多様なエンターティメントが落語なのです。
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落語の主な登場人物
落語には、共通の登場人物がよく出ます。
総称の場合もありますし、呼称の場合もあります。
落語によく出演する登場人物をご紹介します。
一例ですが、表にまとめました。
ご参考までに。
登場人物 | 役柄 |
ご隠居 | 物知りな老人、長屋で分からないことが起きると知識・知恵を披露するが、よく知ったかぶりをする。 |
熊五郎(熊さん) | 典型的な江戸っ子で無類の酒好き、職業は大工か左官業。 |
八五郎(八っつあん) | 粗忽者(おっちょこちょい)で常に大声で喚き散らす。 |
熊さん | 八っつあんとは共演が多く、落語の世界では、名コンビとして知られている。 |
与太郎 | 定職についていないニート。 優しい性格の持ち主で呑気かつ楽天的、無知なところがあり、しばしば問題を起こしがち。 |
大家さん | 長屋を持っているオーナー様。 住人の相談に乗ったりなど、何くれと面倒を見る頼れる存在で描かれることが多い |
若旦那 | 商売で成功している金持ち(旦那さん)の独身ジュニア。 純情で描かれることもあるが、大概は遊び好きで世間知らず。性格は金持ち特有の鷹揚さがあり、よく親の金を散財しがち。 |
定吉 | 旦那さんに従っているお手伝いさん。 年齢は10歳前後。生意気な言動が多いが、どこか憎めない性格。 |
その他の登場人物もいますが、まずは押さえておくと噺が分かりやすくなる人物をご説明いたしました。
古典落語のおすすめ三選
①茶の湯
・あらすじ
息子に暖簾を譲り、隠居をきめこんだ大旦那、茶室から茶道具一式まで揃っている家に小僧の定吉と一緒に移り込みます。
折角だからと茶の湯を始めてみるも、勝手が分かりません。
青黄粉を入れ、泡が出ないといって椋の皮(むくのかわ)を投入する始末。
茶の湯らしくなるが、何杯も飲むと腹をくだし、散々な茶の湯。
憂さ晴らしに茶の湯を開くといって、ご隠居が所有する長屋に招待状を出します。
茶の湯の招待状がきた長屋連中は、茶道の心得えがないといって右往左往に慌てふためきます。
恥は掻きたくないが、すったもんだで渋々、茶の湯会に参加します。
長屋連中は、茶の湯の作法を、前の人を見て真似ることで事なきを得ます。
口直しで出た羊羹の美味しさに味を占めた長屋連中。
頻繁に催される茶の湯会に、羊羹目当てに参加する長屋連中ですが、とうとう羊羹が勿体ないといって、ご隠居自ら饅頭を振る舞います。
あまりの饅頭の不味さに、食べたふりをして厠の窓から饅頭を投げ捨てる招待客。
ある日、ご隠居の友人が茶の湯の招待状が来たといって、喜んで遠方からご隠居のところに行きます。
ご隠居が作った饅頭の不味さに飲み込むことができない友人は、厠に行くと言って、饅頭を隣の農家に投げ込みます。
投げ込まれた饅頭が頬に当たるお百姓が言います。
「あーまた、茶の湯か・・・」
新しいことに挑戦するのも良いですが、確かな知識と教えてくれる先生がいないと周りに迷惑が掛かりますので注意が必要ですね‼︎
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名人・三遊亭金馬が得意としたのが茶の湯です
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②「あくび指南」
・あらすじ
今も昔もとりあえず習い事に行っては続かず、すぐ違う習い事をする人がいます。
習い事が趣味な男が、また性懲りも無く違う習い事をしようとしますが、一人で行くのは寂しいので友人を誘います。
友人は、もちろん乗り気では、ありません。
それもそのはず、通おうとしているのが「あくび指南」。
先生の指導が始まり、まず初心者が会得するのは「夏のあくび」だそうで、男は一生懸命、練習するがなかなか「夏のあくび」が会得できません。
何度も怒られながら、話は脱線する、あくびのタイミングでくしゃみはするわで、要領を得ません。
痺れを切らし、退屈な友人。
「見てる俺は、退屈で仕方ねぇ」と、あくびをする。
それを見ていた、あくびの師匠が一言。
「お連れの方がお上手だ。。。」
何事においても一流はいますが、わざわざ教えてもらわなくても自然に出来ることは、学ばなくても良いのかも知れませんね。
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破天荒な落語家・立川談志
一流落語の世界に聞き惚れてください
③「青菜(あおな)」
・あらすじ
隠し言葉。
知っていると使いたくなるのが人間の性というものでしょうか。
さる屋敷のご隠居に、休憩中の植木屋が、ご馳走になるところから始まります。
上方から取り寄せた冷酒「柳影(やなぎかげ)」と鯉のあらいをご馳走になる植木屋。
そこで、ご隠居夫婦の妙な会話のやり取りを聞きます。
ご隠居は、「植木屋さんに菜(小松菜)のおひたしを」と奥様に言います。
そこで奥様は「 旦那様、鞍馬山からなんとあの牛若丸がやってきまして、名は九郎判官義経」と言い、ご隠居は「うーん。。義経、義経」と応える。
さっぱり意味が分からない植木屋は、ご隠居に質問すると
「菜」が「名」、「九郎判官」が「食うて(くろうて)」
「義経、義経」が「よし(つね)よし(つね)」
「青菜は食べてしまって、もう無いですよ」と奥様、それに「よし、わかった」と応えるご隠居の隠語であることを伝えます。
この隠語に知性を感じた植木屋は、早速、自分の家でも再現しようとしますが、なかなが思うようにいきません。
それもそのはず、植木屋の家は、高い酒がない、気の利いたつまみがない、家が狭いなど、ご隠居の家とは、全て違うのです。
そうこうすると、植木屋の女房が最後の決め台詞。
「 旦那様、鞍馬山からなんとあの牛若丸がやってきまして、名は九郎判官義経」
言葉に詰まった植木屋が苦し紛れに応える。
「うーん、弁慶にしておけ。。。」
知識や技術のレベルが違うと劣等感からか、真似ても真似きれない場面があって、ついつい自分を蔑んでしまうといった良い教訓にもなるのでは、ないでしょうか。
まずは、自分の身の丈にあった生活を考慮して、学ぶ分野を選ぶ必要があるかも知れませんね。
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まとめ:お後が。。。
落語は人間の小ささを大切にする。始末の悪さ、愚かさをそのまま語る。こういう人間の業(ごう)を肯定してしまうところに、落語の物凄さがある
立川談志
立川談志が語っているように、落語とは自分と他人を比較して、その滑稽さや愚かさを笑いの種にする卑小な行為なのかも知れません。
人間の器は小さいのが普通。
その事をわからせてくれるのが、落語なのでしょう。
喜劇に真実が隠れているものです。
その角度から見ると、落語というものも一層趣きのあるエンターティメントなのです。
今回のまとめ
・落語は様々なカテゴリーや地域・落語家で無限の表現がある
・落語の登場人物は、どの話でも登場する人物がいる
・初心者でも分かりやすく楽しめる落語を3演目ご紹介
以上のラインナップでご紹介しました。
落語は、あまり難しく考えずに笑えるところに素晴らしさがあると思います。
深く考えずに、演目も落語家さんも知らずに、まずは寄席に足を運んでみたはいかがでしょうか。
知らなかった世界が、そこに待ち受けているかも知れません。
人生のお後がよろしいものになりますように。
▼立川談志の落語▼
時代が産んだ寵児か革命児か
落語は立川談志以前か以降に分かれるのもかも知れません
ぜひ、立川風落語を拝聴してください!!