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スコーグシュシュルコゴーデン〜美しい自然と共に眠る
世界には「森の墓場」と呼ばれる場所があります。
その場所はスウェーデン。
聞き覚えのない、縁の浅い国かも知れませんがスウェーデンは、世界でも有数の家具メーカーの発祥地。
ノルウェーとフィンランドの隣に位置するスウェーデンは、北欧最大の都市ストックホルムのある自然と現在技術を融合した国なのです。
ストックホルムは海に面した美しい都市で、あまりの美しさから「北欧のヴェネツィア」と呼ばれる程の風情ある都市です。
そのストックホルム南部にあるのが、森の墓場「スコーグスシュルコゴーデン」です。
世界遺産に認定されている「スコーグスシュルコゴーデン」ですが、他のピラミッドやタージマハルとは趣きが違い近代美術の粋を集めた共同墓地なのです。
スウェーデンにとって森は神聖なるものを意味し、森の墓場はスウェーデン人の死生観そのものです。
スコーグスシュルコゴーデンに触れて、日本の文化にも共通する、自然へのリスペクトを増していく旅に出かけましょう。
スウェーデンと日本の親和性〜スウェーデン人が大切にするもの
スウェーデンと日本は、どこか似ている部分があります。
個人差は、どの国の方でも一緒なのは当然ですが、日本と同様にスウェーデンの方は他者と打ち解けるのに時間を要するといった傾向があります。
また会話の中の間(ま)を楽しみながら、相手の心情を汲み取るといった文化があります。
しかし自分の主張はハッキリと伝えるのがスウェーデン流の会話でもあるそうです。
そっけない態度が丁度いい距離感で相手と自分を置き、相手を知る上での言葉は単なるオマケのようなものと考えているのかも知れませんね。
・スウェーデンと日本の共通点と学ぶべき特徴
スウェーデン人と日本人の特徴の類似点は、几帳面でマジメ、忍耐強い、職人気質といった点が挙げられます。
しかし日本国とスウェーデン国は大きく異なります。
例えば、男女平等の精神、個人を尊重する上での個人主義などが根強いている土台にスウェーデン国が世界有数の福祉大国であることが大きく影響しています。
又第二言語の英語も堪能であり日本が見習うべき環境がスウェーデンにはあります。
次世代へのフェーズのヒントが詰まったスウェーデンの文化や精神は、まさに足るを知り、自然に帰っするのが当たり前であるとしている精神にあるのではないでしょうか。
・第二外国語の上手な付き合い方
スウェーデンでは公用語としてスウェーデン語の使用を2009年7月より定めました。
第二言語は英語ですが、スウェーデンの英語力のは、世界でもトップクラスです。
スウェーデンでも英語は義務教育で学ぶのですが、それ以前より英語に慣れしたしんでもいます。
日本においても同じような環境ですが、一体何が違うのでしょうか。
英語に関わらず、学習においては「インプット」「アウトプット」「反復・継続」の3点が重要です。
スウェーデンでは、幼い頃からテレビや動画、音楽など英語に溢れています。
自然とインプットする機会が多いことは、日本と同様です。
しかし英語を通じてコミュニケーションを取ることが頻繁にあることが決定的に違います。
例えば、オンラインゲームで繋がったプレイヤーと英語を通じてコミュニケーションを図ること、WEBサイトの情報入力は英語であること、ブログを英語で発信あるいはコメントをすることなど日常にアウトプットの機会が多いのが特徴です。
このような環境により反復・継続が自然とおこなえるので、英語が流暢になるという訳です。
そしてスウエーデンにおける最大の英語学習効果は、英語に苦手意識を持っていないということです。
前述にようにスウェーデンでの言葉の概念は、他者の意思を汲み取るための単なるオマケと考えているからこそ、英語も単なるツールとして慣れ親しんでいるのでは、ないのでしょうか。
これからの日本もスウェーデン同様に、英語を学習・習得できる仕組みが出来るかも知れませんね。
・ワークライフバランスを重視する文化
スウェーデンの消費税は25%と非常に高い税率の国ですが、その税を有効に福祉として還元している素晴らしい国でもあります。
例えば、育児休暇は480日間、出産費は無料であり20歳まで医療費も無料、16歳になるまで子供の児童手当や両親への手当も支給されるという保証が充実しているのです。
このような背景もあり、豊かな精神性が醸成されているのかも知れません。
そして先進的な個人主義によって、人生の捉え方や仕事に対する姿勢も多種多様な文化です。
仕事は人生の一部であることを充分に認識しているスウェーデンは、ライフワークバランスを非常に重要視しています。
充実した福祉がある背景も手伝って、スウェーデンならではの文化も醸成されているのでしょう。
日本もかく在りたいと願うばかりです。
・自然と調和したライフスタイルの追求
スウェーデンは、自然と調和したライフスタイルを追求し、豊かな精神性を大切できる場所です。
また福祉大国として、社会的にも充実した生活を送ることができます。
スウェーデンは、その自然美が世界的に有名でもあり、自然と調和したライフスタイルを求める人々にとっては理想的な環境と言えます。
自然との触れ合いを通して、ストレスや疲れを癒し、心身ともにリフレッシュすることができるスウェーデンのとっての自然は、豊かな人生を支えてくれる偉大な存在でもあるでしょう。
森は人生の最後を迎える場所と考えるスウェーデン人の死生観も頷けます。
自然から学ぶ死生観〜スウェーデンの墓地が教えてくれること
スウェーデンと日本の自然に対する考えは、似て非なるものです。
また死生観も日本のそれとは、少し違うようです。
それは自然への接し方でも如実に伺えます。
では北欧と日本では、どのように自然に対する考え方が違うのでようか。
・自然への憧れを抱く北欧の文化
北欧の自然は、手つかずのまま、そのまま自然であることを最良としています。
スウェーデンの死生観は「人が死ぬと森に還る」です。
これを体現しているのが「スコーグスシュルコゴーデン」。
これは、1994年に世界遺産に登録された墓地であり、「スウェーデン建築の父」と呼ばれたアスプルンドによって設計されたスウエーデンのシンボルそのものです。
森へと還るという死生観から、スウェーデンでは、人の終末期に延命処置を嫌うと言います。
何事も自然に任し、死は森が受け止めてくれるといったところでしょうか。
スウェーデンでは、終末期でも飲酒や喫煙も許されると言います。
まさに人生の最後の最後まで楽しみ尽くすことが大事と言わんばかりです。
「スコーグスシュルコゴーデン」の美しくも暖かさや楽しみさえ与えてくれる場所であるのは、そのようなスウェーデンの死生観が表現されているからなのでは、ないのでしょうか。
・調和のとれた自然を好む日本の文化
日本にとっての自然の考えは、スウェーデンを含む北欧のそれとは違います。
自然公園や庭園は、よく調和され、計算し尽くされたワビサビを演出します。
自然災害が多い日本は、自然は恐れであり、脅威そのものなのです。
自然により命を奪われることもある日本に去来する死生観は、儚さなのです。
人は自然に還るが、その中で洗練さや可憐さを追い求めるといったところでしょうか。
例えば、桜にみる日本の文化が、そのまま日本人の精神性であると言えるのでは、ないでしょうか。
森の中で永遠の安らぎを〜スウェーデンの墓地で感じるもの
めしを喰って静かに息をついていたら いつの間にか日が暮れて 気がついた時は墓場の中
相田みつを
Ska vi fika?
スウェーデンでは、1日に何度もコーヒーを飲み、休憩をします。
何事もありのままで、人生を楽しみ、終末においても楽しむことを止めません。
足るを知ることが人生において最良であり、自然に還ることが当然であるとしているスウェーデン。
世界遺産「スコーグスシュルコゴーデン」は、日本の儚さとは違った美しさを持った墓場です。
お茶を楽しみながら、北欧人のように人生を楽しみながら最後を迎えるというのは、なんて素敵な考えなんでしょうか。